宮下くん聞き書き

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宮下くん聞き書き

北海道大学 名誉教授
福田正己先生への聞き書き作品

福田正己先生について
埼玉県浦和市生まれ。浦和高校を経て東京大学に進学。1972年 東京大学理学系大学院博士課程修了・理学博士取得。1974年 北海道大学低温科学研究所・助手。1986年 北海道大学低温科学研究所・助教授。1990年~2007年 北海道大学低温科学研究所・教授。北海道大学低温科学研究所では、土の凍結する現象についての研究を行った。1995年~1998年
東京大学理学系研究科大学院流動講座・併任教授。1999年~2004年 放送大学・客員教授。2007年~2010年 アラスカ大学国際北極圏研究センター・教授。2011年~2015年 福山市立大学・教授。福山市立大学では4年間、自然科学を教えていた。現在、北海道大学名誉教授。著書「マンモス ―絶滅の謎からクローン化まで―」が2017年7月21日に株式会社
誠文堂新光社から発行されている。

私たちが福田正己先生にインタビューをしようと思ったのは、私たちが今、黒門塾でマンモスについて探究していて、福田正己先生はマンモスについて長年研究されているとのことだったので、マンモスについての質問をさせていただきたいと考えたからだ。

私たちと福田先生の自己紹介が終わると、早速インタビューに移った。

「早速インタビューに移らせていただきたいのですが、まず始めに、どうして福田先生はマンモスの研究に興味を持ったのでしょうか?」

「えっとね、
土の凍結する現象についてまず北海道で研究をしていて、北海道で一番高い山の大雪山に永久凍土があるんじゃないかと考えたの。実際に調査してみるとそこに永久凍土があることを見つけたの。それで永久凍土について研究するときに、やっぱり永久凍土の本場であるシベリアに行ってみたかったのだけど、その当時は外国の研究者は入れなかったんだよ。その代わりに永久凍土があるアラスカとカナダの極致に行ったのね。そこで気候変動と永久凍土の関数研究をしていたのね。他にも、南極の数パーセントは氷河が覆ってないので、特に南極半島に永久凍土があるの。そして、その南極半島のところにアルゼンチンとチリの協力隊と一緒に行って調査することができたの。そうするうちに、ソビエトからロシアに変わって外国の研究者が入れるようになったんだ。だから、ロシアに行くことができるようになったんだよ。ロシア科学アカデミーの永久凍土研究所の方たちと一緒に調査をするうちに2つのことに驚いた。

1つ目は、「森林火災」。行くたびに大規模な森林火災があった。それをテーマにした気候変動と永久凍土の関係の研究をしばらくしていたの。その過程で、永久凍土の森林のずっと北に行くとそこはツンドラ地帯なのね。そのツンドラ地帯と森林帯の関係の調査のために、今度は北極海の沿岸のほうに行ったのね。そこで2番目に驚いたのは、調査中にマンモスの足とか牙などがたくさん見つかったの。その足や牙の年代測定をすると、なんと28000年前だったから、その当時マンモスがたくさんいたのね。そんなマンモスがなぜいなくなったのか、ということが疑問に思ったからだね。 研究の中心は「森林破壊と地球温暖化」だったけど、ついでに「マンモスがなぜいなくなったのか」について自分で調べるようになったことがきっかけかな。」

「なるほど、ありがとうございます。」

自分が想像していたよりも詳しく、丁寧に教えてくださったし、永久凍土が日本にあるなどと考えたことがなかったので、そのような考え方は自分もしていきたいと思った。

「では、次の質問に行かせていただきます。マンモスの復活は現時点では可能であるかということを聞きたいです。」

「昔からそういう話題が何回もあって、研究仲間の一人はある場所に土地を買って「マンモスを復元して金儲けしたい!」と言っていて、何回も私に相談してきたのね。「儲かるから出資して」といってきたけど「嫌だ」って答えたね。でも、ハーバード大学やソウル大学などと交流するうちに、「なぜ彼らはそのようなことをしたがるのか」ということが不思議になったのね。だけど、ある事に気が付いたのね。それは、彼らがマンモスの復元をもとにしてノーベル賞が欲しかったんだよね。だから彼らはノーベル賞と金儲けの為に研究に力を入れていたんだよ。それで、何回か彼らと交流するうちに「これはまずいな」と思ったね。 何故かというと、絶滅した生物を人間が復元すると、人間が新しい生物を作っちゃうわけ。これは生命原理に違反する、やってはいけないことなのね。」

確かに人間が操作を誤って新しい生物を作ってしまうことがあるかもしれない。そんな生物が自然界に放たれると、生態系が脅かされてしまう。とその時思った。

「それから一昨年、日本科学未来館でマンモスの展示があったのね。主催は科学未来館だけど、後ろでフジテレビが主催をしていたの。マンモスの復活を研究している近畿大学も呼ばれていたから、私は展示に協力する代わりに「マンモスの復活に対しては反対です」という意思表示をどこかに載せてほしいという条件を出したの。すると、マンモスについて色々書かれている中の、最後の1枚にその意思表示を載せてくれたの。「人間が生命を操作するのは間違っているから、いくら科学のためでもマンモスの復元に手を出してはいけない」と明確に表明したのね。出版した本もこの展示のように批判的に書いたんだよ。だから結論としては、科学技術的にはできると思うけど、私は復活には反対ということです。」

「分かりました。ありがとうございます。」

この話を聞くまでは、マンモスの復活はずっと科学が進化するから良いことだと思っていたが、反対側の声も聞いて、科学の進歩とはいえどもしてはいけないことでもあるため、反対側の意見もあると思えた。

「次の質問に行かせていただきます。福田先生がこの研究をしていて、一番印象に残ったことは何かありますか?」

「あのね、印象に残ったことはね、本の一番最後のページに写真があるけど、火事の後に行った森で会ったアフリカゾウの写真だね。」

その写真は福田先生がアフリカに行った時に撮った写真で、やせ細ったアフリカゾウが写っていた。その光景に福田先生はショックを受けた。

「世の中にはあまり知られていないけど、アフリカゾウは今絶滅寸前。その最大の原因は森林破壊、つまり火災です。シベリアの火災もひどいけど、世界の火災の焼失面積が一番多いのはアフリカです。去年アフリカで激しい火災があったけど、オーストラリアの火災ばかりメディアで取り上げられていたね。しかし、アフリカの火災のほうがもっとひどかったの。なぜ取り上げなかったかというと、アフリカの森は人の手、つまり焼畑農業が今でも行われているんだよ。あまりアフリカは近代化しないから原始的な方法である、森に火をつけちゃうの。これが一番の火災の原因。アフリカゾウはよくステップにいるようなところをテレビで見るけど、実際はステップと森の両方に半分ずつぐらいいるの。アフリカゾウは森の木の葉っぱを食べているの。森っていうのはアフリカゾウにとって非常に重要なのね。それがどんどん減ってきているからアフリカゾウは絶滅寸前になっている。2つ目の原因としては、密猟で、象牙のためにアフリカゾウがどんどん殺されているんだね。これらの原因からアフリカゾウはあと数十年で絶滅してしまうかもしれない。でも、これはシベリアのマンモスの絶滅と同じなのではないか。たくさんいたマンモスも、もちろん気候変動もあると思うけど、とどめを刺したのは人類だと思う。よって、昔起こっていたことが現在でも起こっている、ということになるんだね。でも、それがあまりにも世の中に知られていない、このことをみんな知るべきだなと思ったことが一番印象に残ったね。かつてシベリアでマンモスを滅ぼしたのと同じように、現在もアフリカでアフリカゾウを滅ぼしていると、みんなにもっと伝えたかったから本の最後のページに写真を載せたんだよ。」

福田先生の著書を読ませていただいた時に、どうして最後のページにアフリカゾウの写真を大きく載せているのか気になっていたので、疑問も解決してすっきりした。

まだまだ質問があったので質問を続けた。

「では、次の質問に行きます。もし、過去に戻ってマンモスの生態などが知ることができるタイムマシンがあったとすると、過去に戻って調査をしたいか、それとも、現代のまま調査をしたいか、ということを聞きたいです。」

「我々がやっている永久凍土の研究とは、過去に戻る仕事なの。過去の環境をどう再現するかというものなの。例えば、シベリアの北のほうでは20000年前に寒くなりすぎて木などの植物がいなくなったの。どうして分かったかというと、スギなどの花粉は何万年経ってもなかなか腐らないの。そうすると、地層を調べてその中にいる花粉の量を調べるの。すると、過去にどんな植生があったか調べられる、つまり一種のタイムマシンなの。マンモスの年代測定は、炭素の同位体のCの14の量で何年に生きていたのかが分かるの。だから、我々はタイムマシンを持っているの。それらを使って、わざわざ昔に行かなくても、昔の環境を知ることができるわけ。そうやって、人類・生物の進化や環境の変化が復元できるのね。元々、私の研究の出発点はそういう古環境の復元なの。」

正直、年代測定というのはどのようにするのかが、あまりよく分かっていなかったので、炭素などの同位体の量で決まっているというのは知ることができたので良かった。

過去に戻りたいか、戻りたくないかと質問したのが、一種のタイムマシンをもう使っていたなんて、結構衝撃的であったが、よく考えたら地層は一種のタイムマシンとも言えるなと思った。

「このようなことを学ぶには、日本の理科教育で一番欠けていて、科学を学ぶ上で基礎となる「自然史学(ナチュラルヒストリー)」を学ぶことが大切。つまり、「自然の事を正しく観察して、正しく書くこと」が大切である。私が大学をつくったときに文理関係なく「自然の成り立ちについて知る」ということが大切だから、自然史学を必修科目入れたの。自然史学は例えば、桜の開花宣言はどうやってするかとか。 日本の中学生とアメリカの中学生に「理科は好きか」アンケートを取ると、日本の7割の生徒が「嫌い」で、アメリカの7割の生徒が「好き」と答えたのね。なぜかというと、日本は「暗記科目が

いっぱいあるから」で、アメリカは「実験が楽しいから」というのが理由だったの。これもね、アメリカはナチュラルヒストリーという考え方の基礎があるからなの。これは、実験だけでなくて調べてみたことを観察するとか、実験を通して学ぶ。だから、理科は楽しい。なので、目の前のことをなぜかと考えることが、何をする上でも大切なんだよね。」

この話を聞いて、何事もただ暗記するのではなく、なぜそうなるのかということを自分の目で確認していきたいと思った。あと、「理科は謎解きゲームと思え」とも言っていたので、理科はそうだけど、他の教科も楽しめるようになって、息抜きに理科の問題を解いたり、科学論文を読んだりするぐらい楽しみたいと思った。

「次の質問に行かせていただきます。マンモスとゾウの大きな違いは何でしょうか?」

「基本的には全く同じです。というのは、住んでいる場所に適応して毛が生えたりしたけどほとんど一緒。マンモスの研究は、現在のゾウを中心に行っている。ゾウがこうだったからマンモスもこうだっただろうという感じ。全く違うものと思わないで、同じものから出発しているから、全く違うものと思わないでね。 例えば、マンモスは低周波を使って会話をしていたんだよ。低周波は遠くまで届くので今のアフリカゾウも使っている。しかし、マンモスの低周波はアフリカゾウよりも周波数が低いので、遠くまで届いたとされる。もう1つは、足の裏で地面の振動を捉えて会話をする。この2つ使ってお互い通信をしていたんだ。なぜ分かったかというと、現在のアフリカゾウからの類推なんだよね。」

「なるほど、ありがとうございます。  マンモスの牙って大きいものでどのくらいなのですか?」

「はい、だいたい平均で70㎏~100㎏。だから、マンモスは1体で200㎏のものをずっとつけていたんだね。その結果として、牙の重さに耐えられるように前脚がすごく発達したけど、相対的に後ろ脚は未発達だったのね。だから後ろに体重がかかると簡単に折れてしまう、その折れた後ろ脚2つを見つけたんだよ。

ところで、マンモスの牙は何のためにあると思う?」

マンモスはゾウに似ているので、ゾウがどんなことに使っているか考えながら答えた。

「…… 牙を使って戦うためですか?」

「全然違う。マンモスの牙は湾曲していて、ゾウみたいに土を掘ったり、木を倒したりできなかったの。だからただの役立たず。唯一ね、オスの象徴なの。繁殖期間にメスのグループにオスが入るときに、立派な牙があるオスが選ばれるわけ。そのために牙が発達したんだね。」

「オス同士で争う時って、牙の大きさで決めるのですか、それとも牙をぶつけて戦って決めるのですか?」

「えっとね、それは今のアフリカゾウが全く同じ。繁殖期になるとメスの集団に入るためにオス同士が戦うの。その時に致命傷を与えるのが牙だから、アフリカゾウは戦いに牙を使っているんだね。」

「ありがとうございます。」

ここから、福田先生が書かれた著書についての質問をした。

「マンモスの牙が「リウマチに効く」と書いてあったのですが、それなら象牙もリウマチに効くのでしょうか?」

「はい、そうです。ワシントン条約で象牙の売買は禁止されているけど、マンモスの牙は禁止されていないから、例えば、日本のある県にある判子会社では、マンモスの牙を使った判子を売っているのよ。中国ではマンモスの牙を粉状にして漢方薬としてよく輸出されていた。それで、昔からマンモスは高値で取引されていたんだ。」

「ありがとうございます。」

ここで、福田先生の本を読んで出てきたある写真について質問をした。その写真は、シベリアの草原に植物が生えていて、中央にトナカイの角が落ちていた。

「この写真を見ての質問なのですが、トナカイの角のように、マンモスの牙も一定期間経ったら落ちたりするのですか?」

「もちろん、もちろん。私もね、そこで5本ぐらい見つけてね、マンモスの牙は日本に持ち込む規制が無いから何本か持って帰ってきたよ。」

勝手に牙が落ちるのは驚いたけど、人間の歯も自然と抜けるので似ているところもあると思えた。

「ありがとうございます。 次の質問に行きます。福田先生はマンモスの足をシベリアで発見したと書いてあったのですが、その足は「冷凍庫焼け」と呼ばれる状態にはなっていなかったのでしょうか?」

冷凍庫焼けというのは、たんぱく質や脂肪が時間経過により酸化することで、独特な臭いがついてしまうことである。

「やはりね、いくら凍結していても徐々に腐敗するから臭かったです。で、それを野外に放っておくと夜に狐が来て食べていたよ。それで、よく「マンモスの肉を食べた」って話を聞くけど、肉でもなんでも長い時間経つと腐ってくるので、無理だと思うね。

あと、永久凍土は深さ1メートルぐらいで約マイナス10度だから、そこに2万年ぐらい埋まっていたら腐ってしまうよね。さらに、狐とかが食べてしまうので、マンモスは毎年永久凍土から出ているけど、完全な形のマンモスは100年に1回くらいしか見つからないんだよね。」

「ありがとうございます。」

マンモスは毎年永久凍土から出ているという話に驚いたのだが、100年に1回ぐらいしか完全な形のマンモスは発見されていないという事実に驚きを隠せなかった。

「これが最後の質問になるのですが、「永久凍土から発見される確率はせいぜい10%」という福田先生の著書の本文から考えたのですが、残りの90%はどのようなところで発見されるのですか?」

「残りの90%は、川に流されたり動物が食べちゃったりして、どっかにいっちゃうわけ。で、その残存が海岸に行くとゴロゴロ転がっているわけ。それこそね、北極海の海岸を歩いていてね、見つかるのは流木かマンモスの骨のどっちかくらいゴロゴロあるね。だから、牙も見つかっているのは10%くらいで、残りはみんなどっか行っちゃったり、再堆積したりしているね。」

「なるほど、ありがとうございました。」

これで、全11個の自分の中にあったマンモスについての疑問がすべて解決した。

一緒にインタビューを聞いていた武富さんから質問があった。

「今、福田先生はマンモスについてどんな研究をされているのですか?」

「私自身はマンモスについて研究はしてないの。一種の謎解きするために自分で論文を読んだり、研究所と交流したりして調べてみたのね。一番良いところは、モスクワの古生物博物館で、そこにマンモスに詳しい人がたくさんいて、交流して情報を得ていたね。自分で興味持ったから調べてみて、専門というまでは研究はしなかった。」

「ありがとうございます。」

福田先生から続けて話があった。

「今、最も興味を持ってほしいものはね、宇宙なの。今ね、宇宙科学はすごく進歩しているんだよ。特に、惑星科学。アメリカの公共テレビ番組では、しょっちゅう宇宙番組があっていて、それだけ宇宙科学は日進月歩しているの。なぜかというと、昔は望遠鏡しかなかったけど、探査衛星などがどんどん打ち上げられていることによって宇宙の詳細な情報が分かるようなったの。遠くまで行ける衛星は今のところ、アメリカのNASAと、ヨーロッパのESA、日本のJAXAの3か国だけ。なぜそんなに難しいかというと、探査衛星を加速する技術があまり発達していなくて、探査衛星をどうやって加速するかというと「スイングバイ」という、ある惑星の重力に引っ張ってもらって加速するの。その技術があるのがNASAとESAとJAXAなの。もう一つは、高解像度のカメラ。冥王星のような光がないところでもしっかり撮れるカメラが発達したの。最後に、データの圧縮技術。この3つがそろったところがその3つの会社になる。今は、JAXAとESAが協力して水星探査をしていて、あと1年くらいで水星の新しいデータが入ってくる。そんな内容っておもしろいでしょ?だから、アメリカの番組は1ヶ月に一本ずつ出してる。今、最も進化しているのは天文学だから、もっと宇宙に目を向けて欲しい。興味を持ってほしいんだよ。」

宇宙科学の話になって少し驚いたが、探査衛星がどうやって遠くに行くのか知ることができて良かった。

最後に私たちは福田先生に感謝の言葉を述べた。

「マンモスについての話を聞かせていただき、ありがとうございました。福田先生がおっしゃっていたように、結論から述べるということを福田先生の話からも知ることができ、とても分かりやすい説明で、すぐに理解することができました。本当にありがとうございました。」

「忙しい中、私たちのためにインタビューを引き受けていただきありがとうございました。福田先生の話の中にあったように、理科に少し苦手意識を感じていたので、これからは疑問を持ちながら、楽しんでいきたいと感じました。本当にありがとうございました。」

「はい、ありがとうございました。   じゃあ、失礼します。」

そう言い残して、福田先生はZ o mmから退出した。

今回、福田正己先生にインタビューをしてみて、マンモスの復活に対する新しい考え方を知ることができた良い機会になったと思った。それは、インタビュー前は、マンモスを復活させることで科学の進歩につながり、その後にマンモスについて詳しく研究することができる。さらに、マンモスがいることで経済効果が生まれる、という利点があると考えていたからだ。しかし、インタビュー後では、福田先生がおしゃっていたようにマンモスの復活について否定的な考え方もあると思うようになった。なぜなら、人間が滅ぼした生物を人間が再び復活させる、つまり「人間」という生物が「マンモス」という生物の生命を操作することになる。このような、ある生物がある生物の生命を操作するのは行ってはいけないことだと思う。仮にマンモスが復活したとしても、マンモスの復活をきっかけに生態系に変化が起こって他の生物が絶滅してしまう可能性があり、このようになってしまうと取り返しのつかないことになる、という考え方だ。確かに、科学の進歩も大切だけど、それによって取り返しのつかない犠牲を生んでしまうことは絶対にいけないので、犠牲を生まない進歩をするべきだと、このインタビューを通して強く思うようになった。

さらに、マンモスの事だけでなく「どうすれば読み手が興味を持ってくれるような小説や論文が書けるのか」という話もしてくださった。それは、「結論から書く」という方法である。結論から書くことによって、読み手に興味を持ってもらいやすく、しかも「結論がしっかりしていることで物事はしっかりしてくる」ともおっしゃっていたので、私も小説や論文のような文を書く機会があれば、実践してみたいと思った。そこで、今回の聞き書きの記事でも少し実践してみたのだが、慣れない文章構成で時間がかかってしまったので、スムーズに書けるように練習していきたい。

最後に、このインタビューに快く承諾してくださった福田正己先生、インタビューを用意してくださった西田将浩さん、本当にありがとうございました。